尻を蹴られて(番外の告知)


今回は約3ヶ月ぶりとなる「番外編」です。

昨年11月のブログでも記しましたが、最近は独和映像翻訳のご依頼をいただくことが増えています。ドイツ語は一応問題なくこなせるのですが、映像翻訳には独特の作業手順があり、結構な時間が掛かかります。でも僕には合っているらしく、有難いことにクライアントからも評価していただいているようなので、いつも喜んでお引き受けしています。 
 
今回の依頼は昨年12月の頭に入ってきて、断続的にですが1月末まで作業に取り組み、今月にようやく番組として放映されることとなりました。昨年11月にも携わった番組シリーズの続きで、今回も東京オリンピックを目指す海外選手のドキュメントです。 
 
この番組シリーズは世界各国で取材を行なっていますが、自分が引き受けるのは(当然ながら)ドイツ語圏内の取材の時です。でも、今回はドイツではなくルクセンブルグ。ルクセンブルグという国ではフランス語、ドイツ語とルクセンブルグ語という3ヶ国語を公用語となっています。そのうち「ルクセンブルグ語」というのは元々ドイツのモーゼル・フランケン地方で19世紀の終わりごろまで使われていた方言と酷似しており、そのためか特にメディア系においてはドイツ語がほぼメインとなっているようです。 
 
取材内容が大変面白かったため、とてもやりがいのあるお仕事をさせていただいたと思います。ただ、今回の唯一ともいえる難点は、日本の取材班と取材対象者の間に入る現地の通訳者が日本語もドイツ語もネイティブではなかったということです(いったいどこの人だったんだ・・・??)。そのため、「取材班の質問→通訳→取材対象者の返事→通訳→取材班」のやり取りがまあまあ危ない「伝言ゲーム」となっており(苦笑)、収録されている双方の会話のかみ合っていない部分をどう翻訳に起こすかに苦労しました。 
 

考えてみると、これは楽器演奏にも通じることかもしれません。何かしらの音楽的な「ルーツ(母国語)」を持たないと、演奏内容に説得力が無くなり「まがい物」に聴こえてくる。だからこそ、少なくとも一つのルーツ・ミュージックを「ネイティブ」として自分のものにすることが大切なのだと思います。
 

幸いにも、今回の翻訳作業もクライアントに満足していただけたようなので一安心。番組の完全版は自分もまだ観ていませんが、とても素晴らしい編集となっていることは間違いないと思っています。 
 
2019224日(日)午後800分〜 午後850分にNHK BS1で放送されます: 
世界はTOKYOをめざす55歳のオリンピアン 笑顔の理由〜ルクセンブルク 卓球〜」 【語り】山口智充 
 
番組サイトはこちらから  

http://www4.nhk.or.jp/sekaimezasu/

オリンピック最年長選手でありながら、まだ次を目指して必死に努力する姿の取材を翻訳していて、自分も尻を蹴られた気持になりました。まだまだ先を目指して頑張らねば。 
 
 
 
自分も、自身をより高めるためにもこのメンバーでステージに立っています。こちらもぜひご注目ください。 

 

2019年3月31日(日) 
SHOOT THE DICE Sunday Afternoon Special Show! 

本八幡Cooljojo

Jun Saito :Drums 伊谷 希:Guitar  野々口 毅 :Bass

start:14:00

charge:¥2.500(+ order)

お問い合わせやご予約はCooljojoまたはITANI OFFICIAL WEBよりお願いいたします  


孤独のグルメとブルーノート


以前にも記したことがありますが、僕のレッスンではブルースの奏法に触れることがあります。いわゆる純粋主義的なコテコテの「どブルース」は、生徒さんからのリクエストが無い限り押し付けることはありませんが、少なくとも「Bluesy(ブルージー)」と言われるようなプレイのコツは出来るだけ理解してもらえるようにしています。 
 
ではなぜ「Bluesy」な奏法を重視するのかというと、これをマスターすることにより、その人の演奏内容がリスナーに訴えかける力が段違いに向上するからです。つまり、新たなスケールやフレーズを学んでいなくとも(もちろん学んだほうが得ですが)、「Bluesy」プレイのコツを習得しているだけでより「カッコいい」ミュージシャンに聞こえる、大変便利な「ワザ」だからです。 

ちなみにBluesyなプレイの応用は、別にブルース系の音楽に留まりません。ジャズはもちろんのこと、ポップスや弾き語りなど様々なジャンルやシーンにおいてもBluesyなアプローチはその効果を発揮します。 
 
ここで、簡単な理論の説明をほんの少し: 
プレイヤーの中にはご存知の方も多いと思いますが、いわゆる「ブルーノート」と呼ばれる音があり、それはコードのb3(短3度に相当する音)、b7(短7度)とb5(減5度)であるとされています(まあ、これぐらいはWikipediaあたりでも紹介されているのですが)。これを強調すると、同じメロディーがブルースの特徴でもある「感情豊か」「心の声」「哀愁」「訴えかける力」などに聞こえてくる効果があるのです。
 
このアプローチを、ブルースとは何の関係もないTVドラマで応用されるのを聴いたことがあります。人気番組の「孤独のグルメ」というシリーズです。個人的にも好きで、ちょくちょく楽しんでいます。 
 
このドラマには様々な「テーマ曲」があるようなのですが、僕にとって最も印象的なのは、番組のエンディングに向けて頻繁に流れる曲で、たしか「五郎の12PM」というタイトルが付いています。 


 
この曲はギターのバッキングが機将検将機将検将機将検櫚供b供将気箸いΕ魁璽豹聞圓濃呂泙辰討い襪里任垢(またまた理論の話で恐縮です)、ポイントはそのバックのヴォーカルです。下記の簡単なスコアで紹介しますが、バックコーラスの主旋律がG7コードの9th(長2度)からブルーノートの役割を果たすb3(短3度)へ「スライド」していきます。この時に、昔のブルース・ミュージシャン特有の「クセ」である、短3度と長3度の中間にあるような「中途半端」な音程で意図的に留まることで、その「ブルージー感」がより一層高まる効果を生み出しているのです。 
 
 
(スコアではヴォーカルのトップ・メロディーのみが記してありますが、じつはハモりのメロディーも長6度から短7度へスライドしてブルージー感をサポートしています。しかしヴォーカルの方、巧い。)
 
ではなぜ、ブルースとは何の接点も無いTVドラマでこのようなアプローチが使われているのか?恐らく、いつも単独行動の主人公が物語の最後にまた一人で次の目的へと出向くシーンを、7thコードのカラッとしたサウンドで送り出しながらもブルーノートの強調で「孤独」という感情を微かに感じさせる意図があるのではと解釈しています。もちろん、このフレーズはギターでも簡単に再現できます。 
 
まあ、少なくとも僕は初めて聴いた時からハマってしまったので、効果はあるのだろうな、と(←お前だけということはない・・はず・・だよ・・な・・・?)。
 
やたら音数を増やしてテクニカルなプレイに走らなくとも、たった1音を効果的に「狙い撃ち」するだけで周りから「このギタリスト、スゲーかっこいい!」と言わせることができれば、これほど省エネ的な上達法は無いのではないでしょうか(笑)。 

 

今回のテーマにつてお問い合わせなどあれば、こちらからお気軽に:

http://itanimusic.com/contact.html
 

以上、「孤独のギター」がお届けしました・・(←なに上手くまとめようとしておる) 
 
 
次回のライブ。Bluesyなパフォーマンスを目指します〜(←無理やりつなげようとするな) 
 

2019年3月31日(日) 
SHOOT THE DICE Sunday Afternoon Special Show! 

本八幡Cooljojo

Jun Saito :Drums 伊谷 希:Guitar  野々口 毅 :Bass

start:14:00

charge:¥2.500(+ order)

お問い合わせはCooljojoまたはITANI OFFICIAL WEBよりお願いいたします  

 

以前のライブからの抜粋動画です。次回はより気合いを入れて挑みます。 


 


盗みが正義となるとき


「楽器演奏なんか教えてもらうものじゃない」「自分で盗め!」

その昔、ポピュラーミュージック(ジャズ、ロックやポップス全てを含む)の演奏を習得するための施設がまだ世界でも少なかった6070年代から腕を磨き活動してきたミュージシャンの中には、「音楽などちまちま勉強していくものなどではない。見聞きして盗めないヤツは素質が無いんだ」と考える人も少なからずいました。

歴史的なバンドを生み出してきた6070年代ですが、今と比べると不良や反社会的な人たちの集まりというイメージが強く、ロック文化の歴史自体が浅かったこともあり、教えるためのメソッドにもまだ試行錯誤が多かった時代でした。

それが80年代から大きく変化。TOTOなど「AOR」と呼ばれる、大人をターゲットとするロックやポップスの人気が拡大したことに加えて「スタジオ・ミュージシャン」や「セッション・ミュージシャン」など職人系のプレイヤーに注目が集まったことで、ロックやポップスも「基礎からきちんと学ぶ」という意識が浸透するようになりました。ロックではスティーヴ・ヴァイやジョー・サトリアーニのような、音楽理論も駆使しながら作曲や演奏を行なうニュー・ヒーローたちが現れたことも少なからず影響したのではと思います。

僕自身も、それまでの市販の教材を中心としたカリキュラムを一新。自らロック系の教材を作ることで、学びに来るギタリストたちが慣れ親しんでいるスタイルでモード、コードワークや音楽理論などをマスターできるようにスイッチしていきました。ロック・ギターはバンドの中での活躍がメイン。それを念頭に、パソコンが普及し始めた当初から、独自のバッキングの練習音源を製作して生徒さんたちに配るという手法を取ってきました。まだウィンドウズPCが広まる前の、ATARICommodoreといったモノクロ画面の初期PCの時代です(←僕より若い世代にはまずわからん話で恐縮です)。

ATARICommodore。 


「これ知っている!」という方、年齢がバレます(笑)

その後、音楽と機材の進化に伴い教材もどんどんグレードアップしていきました。生徒さんたちのために、まるでバンドの一員として演奏しているかのようなサウンドで練習できる課題などを制作できるようになったのは、90年代に入ったころからです。

それでも、レッスンの際には僕も必ず生徒さんと一緒に演奏することで、生身のプレイヤーと共演する感覚をも体得してもらうようにしてきました。これが少し変化してきたのは、1997年に帰国した頃からです。

在ドイツ時に教えていた生徒さんたちは皆、講師が一緒に演奏することをとても歓迎します。演奏中に講師の演奏を聴くことで色々な刺激が得られるからではと思います。ところが日本では一緒にプレイすると「先生の演奏に気を取られて集中できない」「先生ほど弾けないのでモチベーションが下がる」などと消極的になる生徒さんたちも、一部ですが見られたのです。そこで、自分も教材に変更を加えて、あまり一緒にプレイしないようなアレンジの音源などもより多く取り入れるようにしてきました。

でも最近になってまた、課題音源に合わせての演奏中に「なんか元気が無いな・・」「間違ってはいないけど、迫力が・・」といった印象の生徒さんも少なからずいると感じるようになり、思い切って教材をまた二人用にリアレンジして一緒に演奏する機会を増やしてみました。すると、前述の生徒さんたちが驚くほど迫力のあるグル―ヴィーな演奏に。「こちらのほうが弾きやすい?」と聞くと「はい!」。

 

当たり前のことですが、やはり生身のプレイヤーとのインタープレイによる刺激は必至。現代の音楽レッスンにおいて理論や演奏技術を順序立ててわかりやすく伝授することは当然の時代ですが、それでも学ぶ側が自ら「盗む」ことも未だ正義であると実感するこの頃です。 



ちなみに、レッスン中の演奏で生徒さんが本気でかましてくれると、僕も刺激を受けてより元気にプレイしますからね〜(←お前はやらんでもええんじゃ) 

 

このテーマに関するご質問はこちらからお気軽に: 

http://itanimusic.com/contact.html
 


恒例の(?)次回ライブのご案内です: 

2019年3月31日(日) 
SHOOT THE DICE Sunday Afternoon Special Show! 

本八幡Cooljojo

Jun Saito :Drums 伊谷 希:Guitar  野々口 毅 :Bass

start:14:00

charge:¥2.500(+ order)

お問い合わせはCooljojoまたはITANI OFFICIAL WEBよりお願いいたします  

 

もうご覧いただいた方もおられると思いますが、以前のライブからの抜粋動画です。今ではよりパワーアップしているのでお見逃しなく。 


 


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PROFILE
ギタリスト・コンポーザー・音楽講師。

幼少よりよりドイツ在住。ミュージカル、ビッグバンド、ブルース、ハードロックからスイングジャズまでのサポートを務める傍ら、自己のバンド「ITANI」でヨーロッパ諸国にて活動。

1997年に帰国。「ITANI」を再結成する。今まで計3枚のアルバムをリリース。最新アルバム「Station To Station」は海外のプレスからも絶賛される。現在、AmazonやiTunes Storeにて好評発売中。

http://itanimusic.com/

LIVE SCHEDULE

2019年3月31日(日)
SHOOT THE DICE - Afternoon Show
本八幡Cooljojo

2019年4月25日(木)
SHOOT THE DICE
大塚Live House Welcomeback

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