孤独のグルメとブルーノート


以前にも記したことがありますが、僕のレッスンではブルースの奏法に触れることがあります。いわゆる純粋主義的なコテコテの「どブルース」は、生徒さんからのリクエストが無い限り押し付けることはありませんが、少なくとも「Bluesy(ブルージー)」と言われるようなプレイのコツは出来るだけ理解してもらえるようにしています。 
 
ではなぜ「Bluesy」な奏法を重視するのかというと、これをマスターすることにより、その人の演奏内容がリスナーに訴えかける力が段違いに向上するからです。つまり、新たなスケールやフレーズを学んでいなくとも(もちろん学んだほうが得ですが)、「Bluesy」プレイのコツを習得しているだけでより「カッコいい」ミュージシャンに聞こえる、大変便利な「ワザ」だからです。 

ちなみにBluesyなプレイの応用は、別にブルース系の音楽に留まりません。ジャズはもちろんのこと、ポップスや弾き語りなど様々なジャンルやシーンにおいてもBluesyなアプローチはその効果を発揮します。 
 
ここで、簡単な理論の説明をほんの少し: 
プレイヤーの中にはご存知の方も多いと思いますが、いわゆる「ブルーノート」と呼ばれる音があり、それはコードのb3(短3度に相当する音)、b7(短7度)とb5(減5度)であるとされています(まあ、これぐらいはWikipediaあたりでも紹介されているのですが)。これを強調すると、同じメロディーがブルースの特徴でもある「感情豊か」「心の声」「哀愁」「訴えかける力」などに聞こえてくる効果があるのです。
 
このアプローチを、ブルースとは何の関係もないTVドラマで応用されるのを聴いたことがあります。人気番組の「孤独のグルメ」というシリーズです。個人的にも好きで、ちょくちょく楽しんでいます。 
 
このドラマには様々な「テーマ曲」があるようなのですが、僕にとって最も印象的なのは、番組のエンディングに向けて頻繁に流れる曲で、たしか「五郎の12PM」というタイトルが付いています。 


 
この曲はギターのバッキングが機将検将機将検将機将検櫚供b供将気箸いΕ魁璽豹聞圓濃呂泙辰討い襪里任垢(またまた理論の話で恐縮です)、ポイントはそのバックのヴォーカルです。下記の簡単なスコアで紹介しますが、バックコーラスの主旋律がG7コードの9th(長2度)からブルーノートの役割を果たすb3(短3度)へ「スライド」していきます。この時に、昔のブルース・ミュージシャン特有の「クセ」である、短3度と長3度の中間にあるような「中途半端」な音程で意図的に留まることで、その「ブルージー感」がより一層高まる効果を生み出しているのです。 
 
 
(スコアではヴォーカルのトップ・メロディーのみが記してありますが、じつはハモりのメロディーも長6度から短7度へスライドしてブルージー感をサポートしています。しかしヴォーカルの方、巧い。)
 
ではなぜ、ブルースとは何の接点も無いTVドラマでこのようなアプローチが使われているのか?恐らく、いつも単独行動の主人公が物語の最後にまた一人で次の目的へと出向くシーンを、7thコードのカラッとしたサウンドで送り出しながらもブルーノートの強調で「孤独」という感情を微かに感じさせる意図があるのではと解釈しています。もちろん、このフレーズはギターでも簡単に再現できます。 
 
まあ、少なくとも僕は初めて聴いた時からハマってしまったので、効果はあるのだろうな、と(←お前だけということはない・・はず・・だよ・・な・・・?)。
 
やたら音数を増やしてテクニカルなプレイに走らなくとも、たった1音を効果的に「狙い撃ち」するだけで周りから「このギタリスト、スゲーかっこいい!」と言わせることができれば、これほど省エネ的な上達法は無いのではないでしょうか(笑)。 

 

今回のテーマにつてお問い合わせなどあれば、こちらからお気軽に:

http://itanimusic.com/contact.html
 

以上、「孤独のギター」がお届けしました・・(←なに上手くまとめようとしておる) 
 
 
次回のライブ。Bluesyなパフォーマンスを目指します〜(←無理やりつなげようとするな) 
 

2019年3月31日(日) 
SHOOT THE DICE Sunday Afternoon Special Show! 

本八幡Cooljojo

Jun Saito :Drums 伊谷 希:Guitar  野々口 毅 :Bass

start:14:00

charge:¥2.500(+ order)

お問い合わせはCooljojoまたはITANI OFFICIAL WEBよりお願いいたします  

 

以前のライブからの抜粋動画です。次回はより気合いを入れて挑みます。 


 


盗みが正義となるとき


「楽器演奏なんか教えてもらうものじゃない」「自分で盗め!」

その昔、ポピュラーミュージック(ジャズ、ロックやポップス全てを含む)の演奏を習得するための施設がまだ世界でも少なかった6070年代から腕を磨き活動してきたミュージシャンの中には、「音楽などちまちま勉強していくものなどではない。見聞きして盗めないヤツは素質が無いんだ」と考える人も少なからずいました。

歴史的なバンドを生み出してきた6070年代ですが、今と比べると不良や反社会的な人たちの集まりというイメージが強く、ロック文化の歴史自体が浅かったこともあり、教えるためのメソッドにもまだ試行錯誤が多かった時代でした。

それが80年代から大きく変化。TOTOなど「AOR」と呼ばれる、大人をターゲットとするロックやポップスの人気が拡大したことに加えて「スタジオ・ミュージシャン」や「セッション・ミュージシャン」など職人系のプレイヤーに注目が集まったことで、ロックやポップスも「基礎からきちんと学ぶ」という意識が浸透するようになりました。ロックではスティーヴ・ヴァイやジョー・サトリアーニのような、音楽理論も駆使しながら作曲や演奏を行なうニュー・ヒーローたちが現れたことも少なからず影響したのではと思います。

僕自身も、それまでの市販の教材を中心としたカリキュラムを一新。自らロック系の教材を作ることで、学びに来るギタリストたちが慣れ親しんでいるスタイルでモード、コードワークや音楽理論などをマスターできるようにスイッチしていきました。ロック・ギターはバンドの中での活躍がメイン。それを念頭に、パソコンが普及し始めた当初から、独自のバッキングの練習音源を製作して生徒さんたちに配るという手法を取ってきました。まだウィンドウズPCが広まる前の、ATARICommodoreといったモノクロ画面の初期PCの時代です(←僕より若い世代にはまずわからん話で恐縮です)。

ATARICommodore。 


「これ知っている!」という方、年齢がバレます(笑)

その後、音楽と機材の進化に伴い教材もどんどんグレードアップしていきました。生徒さんたちのために、まるでバンドの一員として演奏しているかのようなサウンドで練習できる課題などを制作できるようになったのは、90年代に入ったころからです。

それでも、レッスンの際には僕も必ず生徒さんと一緒に演奏することで、生身のプレイヤーと共演する感覚をも体得してもらうようにしてきました。これが少し変化してきたのは、1997年に帰国した頃からです。

在ドイツ時に教えていた生徒さんたちは皆、講師が一緒に演奏することをとても歓迎します。演奏中に講師の演奏を聴くことで色々な刺激が得られるからではと思います。ところが日本では一緒にプレイすると「先生の演奏に気を取られて集中できない」「先生ほど弾けないのでモチベーションが下がる」などと消極的になる生徒さんたちも、一部ですが見られたのです。そこで、自分も教材に変更を加えて、あまり一緒にプレイしないようなアレンジの音源などもより多く取り入れるようにしてきました。

でも最近になってまた、課題音源に合わせての演奏中に「なんか元気が無いな・・」「間違ってはいないけど、迫力が・・」といった印象の生徒さんも少なからずいると感じるようになり、思い切って教材をまた二人用にリアレンジして一緒に演奏する機会を増やしてみました。すると、前述の生徒さんたちが驚くほど迫力のあるグル―ヴィーな演奏に。「こちらのほうが弾きやすい?」と聞くと「はい!」。

 

当たり前のことですが、やはり生身のプレイヤーとのインタープレイによる刺激は必至。現代の音楽レッスンにおいて理論や演奏技術を順序立ててわかりやすく伝授することは当然の時代ですが、それでも学ぶ側が自ら「盗む」ことも未だ正義であると実感するこの頃です。 



ちなみに、レッスン中の演奏で生徒さんが本気でかましてくれると、僕も刺激を受けてより元気にプレイしますからね〜(←お前はやらんでもええんじゃ) 

 

このテーマに関するご質問はこちらからお気軽に: 

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恒例の(?)次回ライブのご案内です: 

2019年3月31日(日) 
SHOOT THE DICE Sunday Afternoon Special Show! 

本八幡Cooljojo

Jun Saito :Drums 伊谷 希:Guitar  野々口 毅 :Bass

start:14:00

charge:¥2.500(+ order)

お問い合わせはCooljojoまたはITANI OFFICIAL WEBよりお願いいたします  

 

もうご覧いただいた方もおられると思いますが、以前のライブからの抜粋動画です。今ではよりパワーアップしているのでお見逃しなく。 


 


自分でモチベーションを

生徒さんの新しい課題音源が完成。最近はけっこうスピーディーに仕上げているつもりですが、どうしても日を跨ぐ作業となってしまいます。
 


僕のレッスンで提供している練習音源は基本的に「手作り」です。各生徒さんの指向やスキルに合わせて作成しています。バッキングやモード(様々な応用スケール)の練習音源などをとっても、ハードなロックやブルースをルーツに持つ生徒さん、J-ポップスから入ってきたギタリスト、ジャズ大好きなプレイヤーなどそれぞれが楽しく練習できるよう各自のスタイルに合わせて作成するので、ある程度の手間は欠かせません。
 
ジャズのスタンダード曲を課題とする時にも、同じ楽曲でも生徒さんによっては音源の構成を変えることもあります。生徒さんによってはレッスン中に一人で弾くほうが落ち着いて集中できる生徒さん、僕が一緒に弾いたほうが刺激を受けてより身に付く生徒さんなど様々。また、ドラムスやベースに加えてピアノやブラスも入っているフル・バンドのサウンドで練習したい人や、ドラムスとベースのみのバッキングで「トリオ編成」を学びたい人もいます。このように1曲のスタンダードでも幾つものヴァリエーションを音源で提供しているので、作成に時間が掛かってしまうのです。
 
 

あ、ちなみに僕のレッスンでは練習音源のための追加料金はいただいておりません・・というか、そもそも始めから教材代というものをいただいておりませんので、念のため・・(笑)
  

生徒さんに各自の演奏スキルや志向に見合った音源を利用してもらうと、練習がより楽しくなるようで上達も早くなることがわかります。音源を仕上げるのは少々大変ですが、それにより生徒さんがより熱意をもってスキルアップしていくのを目の当たりにすると、やはり「頑張ろう!」という気になります。
 
但し、大切なことも。サポートツールがあるほどに練習は「楽」に感じますが、教える側に全てを「丸投げ」して自らの研究心や探究心を持たない人はなかなか実践的なプレイヤーになりづらく、周りからも認められない傾向があるようです。自分でモチベーションを保ち続けられるプレイヤーは必ず抜きん出るようになる。生徒の皆さんはそれを信じて頑張ってもらいたいものです。 

 

 

レッスンのついてのご質問やお問い合わせはこちらからお願いいたします。 

http://itanimusic.com/itani_lesson_japanese.html
 
 
さて、次回のライブの告知開始です。昨年の12月に続き、STDのアフターヌーン・ライブ第2弾。前回は多くの方々がご来場くださり、大変好評をいただくことができました。今回は更にパワーアップしたいと考えています。ぜひお越しください。 
 
2019331日(日) 
SHOOT THE DICE Sunday Afternoon Special Show! 

本八幡Cooljojo

Jun Saito Drums 伊谷 希:Guitar  野々口 Bass

start1400

charge:¥2.500+ order

お問い合わせはCooljojoまたはITANI OFFICIAL WEBよりお願いいたします


もう少しストレートに

 

今日も元気に都内へ。午前からはプライベート・レッスンでした。元々スラッシュやデス・メタル系の生徒さんですが、最近はよりメロディアスなロックからブルースまでを幅広くチャレンジするようになってきて、どんどん充実した内容となっています。嬉しいですね。

 
僕の個人レッスンの場合は生徒さんが指定する場所へ出向いて行なうのが原則となっています。本日のスタジオは利用するのが確か2回目か3回目。なかなか快適に利用できるスタジオなのですが、先日SNSにもUPした通り、前回入った時には部屋のドラムスがこのようなセッティングとなっていて・・・


 
何処のアホがこのようなセッティングにっ・・・と思っていたら、ある方が「こんなバンドがあります」と以下の動画を紹介してくださいました。
 
(2:16からをご覧ください、笑) 
 
いやいや・・先週のShoot The Diceライブの後でこれを観ると、面白がるとか呆れるとかを超えて「こんなことまでせんと売れんのかな・・・」と、なんとなく身につまされてしまいました(苦笑)。
 
 
う〜ん、僕はもう少しストレートに音楽と向き合って行こうかな(笑)。 
 
次回のShoot The Diceライブ、今週中にも告知できる予定です。よろしくお願いいたします!
 
レッスンについての情報はこちらから 
http://itanimusic.com/itani_lesson_japanese.html

 
 


閑話

 

数十年に亘りレッスンを行なっていますが、幸せなことに生徒さんの殆どが意欲的で熱心なので「ギターと音楽を伝える」という仕事に飽きが来たことは一度もありません。練習や研究に前向きな生徒さんには必ずレベルアップが見られ、それがまた刺激となって更なるスキルの向上を目指したくなる。そのようなポジティブなサイクルで音楽に取り組んでいく姿を追っていくと、楽器演奏に取り組むということがいかに人生を豊かにしていくかを、自分も改めて教えてもらっている気がします。

 

もちろん、練習にはハードルも付きものですから、思い通りに上達していかない時もしばしばあります。生徒さんの中には、一生懸命に頑張っているからこそ、期待通りにスキルアップしていかない時にもどかしさを感じる場合もあるでしょう。そういった時に、ふと心の本音をレッスン中につぶやいてしまう生徒さんもいます。その中から、独断と偏見でトップ5を選んでみました(←余計なことせんでも・・)

 

 

5位:「家では弾けたんです・・」

言いたいこと、すごくわかる。例えレッスンとはいえ、ある意味では「本番」。そこで急に思い通りに弾けなくなる現象、ほぼ全てのミュージシャンが経験したことがあるのでは?自宅における練習で、いかに「本番」をシミュレートする状況やメンタルを作れるかは大切ですね。レッスンでもしばしば話題となります。

 

4位:「パート毎なら弾けるんです・・・」

これもわかります。でも、人前で曲をパート別に弾いていくわけにもいかんし(笑)。曲の演奏は指さばきだけではなく、集中力の持続にもかかっています。曲の最後まで同じ高い集中力を保ち続けることが出来るか。これもトレーニングの一環として重要。

 

3位:「頭の中では弾けてたんです・・」

それを言われても・・・(苦笑)。でもイメージを持つことは大切。但し、頭の中で漠然と曲が鳴っているのではなく、弾くべきメロディー、和音、リズム、そして運指などが具体的に、曲を通してずっと見えるようにイメージ・トレーニングを行なうと大変効果的です。

 

2位:「違うんです!今日のオレはホントのオレじゃないんですっ」

じゃあ誰なんだっ(汗)・・・でも言いたいことが少しわかる自分もイヤ(苦笑)。本番(とはいえレッスンですが)でこの「現象」が起こるときは、曲の練習段階において若干自信過剰になっていたか、逆に高まりすぎた不安に集中力を削がれてしまっていることが少なくないようです。

 

1位:「もう、ここでは弾けないんだろうと納得するしか・・・」

納得すなっ(困)。とはいえ・・・楽器演奏では「実力」以上の演奏は絶対にできません。無理にでも自分の力以上の演奏を目指すと、逆に普段の演奏力さえも出せなくなってしまうことは少なくありません。無理やり背伸びをせずに、「現時点での自分に出せる力」に「納得」して演奏に取り組んだほうが、良いプレイに繋がるのではないでしょうか。

 

 

以上、レッスンに関する閑話として記してみました。次回のステージで不肖イタニが「今日のオレはホントのオレじゃぁ・・」などと抜かしたら、ご来場の皆様はご遠慮なくツッコんでやってください。 

 

レッスンに関する情報やお問い合わせはこちらから: 

http://itanimusic.com/itani_lesson_japanese.html

 

 

2018 年7月19日(木)西荻窪Live Spot Terra
SHOOT THE DICE

Jun SaitoDrums 伊谷 Guitar 野々口 Bass

open19:00時、start19:30 2ステージ入替無し)

charge:¥3.000+order

ご予約はLive Spot Terraまたはメンバーのウェブサイトよりお願いいたします

   
 
 
STDのライブ動画も紹介されています: 
 

 


皆様のお越しをお待ちしております!


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PROFILE
ギタリスト・コンポーザー・音楽講師。

幼少よりよりドイツ在住。ミュージカル、ビッグバンド、ブルース、ハードロックからスイングジャズまでのサポートを務める傍ら、自己のバンド「ITANI」でヨーロッパ諸国にて活動。

1997年に帰国。「ITANI」を再結成する。今まで計3枚のアルバムをリリース。最新アルバム「Station To Station」は海外のプレスからも絶賛される。現在、AmazonやiTunes Storeにて好評発売中。

http://itanimusic.com/

LIVE SCHEDULE

2019年3月31日(日)
SHOOT THE DICE - Afternoon Show
本八幡Cooljojo

2019年4月25日(木)
SHOOT THE DICE
大塚Live House Welcomeback

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