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聴いた瞬間に「全然違う」

 

 

2017/11/6本日、某国のトップが訪日していることもあり、別のアジア某国との緊張感がTVで繰り返し報道されているようです。自分は政治の専門知識が無いのでコメントはしませんが、60年代初頭から90年代後半までドイツで暮らしてきた身としては、1989年まで分断されていた東西ドイツの状況と照らし合わせてしまい色々と考えさせられる面があります。

 

僕がドイツを中心にヨーロッパで演奏活動を行なっていた80年代に、時折ですが東ドイツ(正式な国名はドイツ民主共和国)のミュージシャンと出会うことがありました。当時の西ドイツ(ドイツ連邦共和国)政府は「いつかは東西ドイツが再統一する日が来る。その時に、東ドイツが社会主義の悪影響で経済的に困窮していると、ドイツ政府としては抱えきれない負担が生じるかもしれない」というリスクを見据えていました。そのため西独は、貿易や文化交流という名目の下で、東ドイツが西ドイツにおいて一定の外貨稼ぎを行なうことを容認していました。つまり、前述の東ドイツミュージシャンたちは「西ドイツマルク稼ぎ(欧州でユーロ貨幣が導入される前の時代です)」のための「営業バンド」だったのです。

 

当時、社会主義国の東ドイツでは全ての経済・文化・教育部門が国家主導で行なわれていました。そのため、例えポピュラーミュージックのダンスバンドやロックバンド(数は少なかったが存在した)でも、東独では全員が国家試験に合格したミュージシャンたちばかりでした。その試験内容はクラシックのエリート音大並みに厳しかったようで、いわゆる「Top 40」などと呼ばれるヒット曲を演奏する営業バンドのメンバーでも、読譜能力などは恐ろしいレベルの人たちばかりでした。

 

ところが、彼らと話をすると、意外なほどに西側のポップスやロックのミュージシャンにコンプレックスを抱いていることが伝わってきました。その最大の理由は

 

「東側ではロックの演奏感覚が掴めない」

 

ということにあったようです。演奏技術は叩きこまれている。読譜能力は特筆もの。楽器は国家から支給される。でも、「西側のロックやポップスは資本主義の悪の象徴」とされていた当時の社会主義国では、自由に聴きたい音楽を選べない。そのため、(支給された)譜面を正確に再現することは出来ても、どのジャンルも「そのサウンド」にならないことが多かったのです。インターネットの情報などなかった時代に、東独のミュージシャンは社会主義システムの中で徹底したポピュラーミュージックの「マニュアル」を叩きこまれてきたのですが、西側へ営業でやってきて現地ミュージシャンの演奏を聴いた瞬間に「全然違う!」と気づかされ、ショックを受けることが少なくなかったのです。

 

音楽には技術も理論も存在します。でも「マニュアル」のみでは人に伝わらない。その「文化」を肌で感じて吸収することで、初めてその文化の中で説得力のあるパフォーマンスが行なえるのではないでしょうか。

 

今は当時とは異なり、ネット上などで多くの情報を共有できる時代になりました。それでも、実際に足を運んで現場の音、感触、空気感などを体験しないとわからないことが、どんなジャンルの音楽にも多々あります。以前、僕のライブに来てくれた若いギタリストがステージ終了後に「ライブって、こんなすごい迫力なんですね!」と感想を漏らしていました。ギターを複数本も所有し、好きなアーティストのアルバムなどもたくさん購入しているこの若者、今までライブ会場に足を運んだことが一度も無かったというのです。「動画サイトで観ることが出来るから充分だと思った」ということですが、これでは「文化」を吸収するのは少々難しいかもしれません。

 

レッスンを行なっていても、積極的に人と演奏し、ライブを観に行き、自らも人前で演奏しようと取り組んでいる生徒さんは、演奏中の説得力がぐっと増してくるように感じます。基礎を疎かにしては何も始まりませんが、現場で「文化」を吸収することは、ミュージシャンとして一歩抜きん出るために不可欠な事ではないでしょうか。一緒に様々な「文化」をガンガン演奏できる仲間を増やしていきたいものです。

 

 

年末までの、大切なステージのお知らせです。

  

 

2017年11月23日(木、祝日)

SHOOT THE DICE

西荻窪Live Spot Terra

Jun Saito:Drums、Nozomi Itani:Guitar、Takeshi Nonoguchi:Bass

open:18:00時 start:18:30時

(2ステージ・ワンマンライブ、入替無し)

charge:¥3.000(+オーダー)

お問い合わせはLive Spot Terraまで:03-3395-7611

メンバーのウェブサイトからもお問い合わせいただけます 

 

リー・リトナー(G)、パトリース・ラッシェン(Kb)、ラリー・コリエル、マイク・スターン、渡辺香津美、パット、メセニー、チャック・ローブなどと共演してきた、スーパー・プレイヤーとのステージです!

  

 

20171215日(金)

ITANI - 年末スペシャル・ステージ

大塚Live House Welcomeback

伊谷希:Guitar 本庄寛国:Guitar 仁村茂:Bass 土屋敏寛:Drums

open1830 start1900

2ステージ・ワンマンライブ、入替無し)

charge:¥3.000(+table charge500 & order

お問合せ・ご予約はLive House Welcomebackまで。TEL03-5957-5141  

 

久し振りのITANIライブは、新曲を2曲引っさげてのステージとなる予定です。年末に熱いパフォーマンスをお届けいたします!

 

皆様のご来場をお待ちしております。

 

 

 


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PROFILE
ギタリスト・コンポーザー・音楽講師。

幼少よりよりドイツ在住。ミュージカル、ビッグバンド、ブルース、ハードロックからスイングジャズまでのサポートを務める傍ら、自己のバンド「ITANI」でヨーロッパ諸国にて活動。

1997年に帰国。「ITANI」を再結成する。今まで計3枚のアルバムをリリース。最新アルバム「Station To Station」は海外のプレスからも絶賛される。現在、AmazonやiTunes Storeにて好評発売中。

http://itanimusic.com/

LIVE SCHEDULE

2017年11月23日(木、祝日)
SHOOT THE DICE
西荻窪Terra

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