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11月23日ライブリポート追記(初めてのモデリング・ギターアンプ)

 

 

11/23の西荻窪Terraライブ、お越しいただいた方々には改めて心より感謝申し上げます。

 

さて、このライブではギター用の機材として初めて「モデリング」アンプの導入を試みました。既に自宅では数ヶ月に亘って活用してきたモデリング・アンプですが、今回はステージでの「デビュー」。ご来場のお客様やサウンド・オペレーターの方にも好評だったようで、ある程度の実践経験は掲載できるのではと思います。ギタリスト向けの超マニアック向け内容かつ長文となり恐縮ですが、「そもそもモデリングって何なの?」という基礎知識も含めて、ご参考までにご紹介します(既にご存知の方はご容赦ください)。 

今回使用したモデリング・アンプ。サイズはかなりコンパクト。   

 
エレクトリック・ギター用の「モデリング・アンプ」とは、簡単に言うと「ギターアンプの音を模倣するデジタル機材」です。従来の多くのギターアンプはアナログ回路の塊です。特に、今でも多く使われている「真空管アンプ(真空管についてはこちらをご参照ください)」などは、第二次大戦以前より基本原理が殆ど変わっていない、他の分野ではほぼ消滅している旧態依然の機材と言えます。それでも多くのギタリスト(←自分も含めて)が真空管アンプを現代でも使用し続けている理由は、他の機材ではなかなか得られない独特の音色やレスポンスがあるからです。特に、ブルースやロックなどで多用される「歪ませた」ギター・サウンドは、元々は真空管に過剰な負荷をかけることで生まれた音色であり、別の方法で全く同じニュアンスのサウンドを得ることはかなり難しいとされてきました。

 

そこで今回のモデリング・アンプですが、言わばこれはただの「デジタルの箱」です。ソフトウェアのプログラミング技術とその処理スピードで、理論上では「なんでもあり」の機材です。

 

しかし、当然ながらギタリストがソフトウェアのプログラミングに長けているとは限らないので(←自分のことです、はい)、ある程度はギタリストに「アンプ的な」操作方法で扱える仕様にしてもらわなければ使えません。そこで、多くのモデリング・アンプには、ギタリストにわかりやすいよう複数の「ギターアンプ・タイプ」「スピーカーキャビネット・タイプ」と「マイクロフォン・タイプ」などをプリセットから選択できるようになっており、更にギター特有のエフェクター・サウンドなども追加できるよう設定されています。これらの組み合わせにより、まるで「特定のギターアンプ」を「特定のスピーカーキャビネット」と組み合わせて「特定のマイクロフォン」で音を拾い、「特定のエフェクター類で音色を加工した」かのような音色を得られるというのが、この機材の特徴です。

 

では、モデリング機材を使用するメリットとは何か?というと、

 

1)機材がコンパクトで軽くなる

真空管その他のアナログ回路を搭載したギターアンプは、かなりの重量があります。ステージ音量に対応できるアンプの多くが軽くても10kg、重いものでは40kg超に達するものもあります。サイズも馬鹿になりません。これをモデリングにすると、片手で楽々運べるサイズと重量に抑えることが出来ます。年配のギタリストにとって、これほど有難い話はありません(←これも完全に自分の話)

 

2)多くのアンプやスピーカー類の音色が即再現出来る

ギターアンプやスピーカーキャビネットには、それぞれの特色やキャラクターがあります。多くのギタリストは、自分の好みに合ったキャラクターのアンプやスピーカーを購入するのですが、当然ながら他のアンプやスピーカーの音色も欲しい場合が出てきます。でも、複数のアンプやスピーカーキャビネットを運搬することは、当然ながらサイズ、重量やコスト面で困難です。モデリング・アンプには、少なくても10数種類、多い場合には数10種類のアンプやスピーカー・タイプのシミュレーションが搭載されているので、理論上は大型トラック一杯分の機材を用意しているのと同じヴァリエーションが期待できる訳です。

 

逆に、デメリットとなり得る点はというと、

 

a)基本的には「模倣」による音色である

モデリングは、飽くまでもデジタル技術によるシミュレーションです。プログラミングが不充分であったり、デジタル処理のスピードが遅すぎたりすると「本物」のアンプやスピーカーとの比較で「明らかにニセモノだろ」とバレてしまう可能性があります。

 

b)トラブルの対応が困難

アンプ、スピーカー、エフェクターなどあらゆるコンポーネントが全て一体化している機材のため、万が一の故障の場合には全てが機能しなくなる恐れがあります。「ゴメン、持ち込みアンプの調子が良くないので、会場のアンプを貸して!」「このエフェクター、ガタがきているので入れ替えよう」などはほぼ不可能となります。スマートホンでスケジュール、支払い、連絡事項、パスワードなどを一括管理していると、壊れた時に何も出来なくなるのと似ているかもしれません。

 

上記のメリットとデメリットを踏まえた上で、先日のライブでのモデリング・アンプ使用経験を記してみます。

 

1)について

機材の運搬や搬入出がなんと楽なことか・・・!これだけのサウンド・ヴァリエーションを、まるでアコースティック演奏に近い機材量でライブを行えるのですから、有り難い以外の何物でもありません。 

持参した機材はこれだけ。スピーカーも必要なし。  

 

2)について

今回のステージはジャズ/フュージョン系のライブだったので、いわゆる「ヘヴィ系」のサウンドは応用しなかったことを断った上で述べると、クリーン系も歪み系も、またエフェクターの多用についても全くの違和感が無く、百戦錬磨のサウンド・オペレーターやロック・ギター大好きなお客様からも「聴いているだけでは、アンプもスピーカーも無いことに気がつかない」と言われるほどでした。ダイナミクス・レンジなども低価格のギターアンプより遥かにワイドで、かなり思いのままに音が出せたと思います。

 

ではデメリットの有無について:

 

a)について

モデリング・アンプの処理スピード(いわゆるレーテンシー)についてはネット上でも色々な意見が掲載されているようですが、自分が弾いた限りでは問題は一切感じられませんでした。具体的な例を述べると、「4分音符=テンポ130」の曲で16分の6連符を弾いても、更に16分や倍テンポの32分音符のコード・カッティング・フィルを挟み込んでも「出音が遅れている」と感じることは一度もありませんでした。

但し、事前のサウンド・セッティングは繊細に行なう必要があります。プログラミング次第では何でもありの機材だけに、下手をすると全く使えない音にもなってしまうので、スタジオやステージなどで実用的な音作りを入念に行なっておく必要はあると感じました。

 

b)について

今回のステージでは一切トラブルを起こさなかったので、何とも言えませんが()、「壊れたら全てがアウト」なので、運搬の際には機材をしっかりと保護して丁寧に扱う必要はあると思います。本来ならばバックアップにもう一台欲しいところですが、コストがかさみますね・・・ここは正直、悩みどころだと感じました。ステージ用のモデリング・アンプの購入を検討する場合は、各メーカーの音質だけではなく、耐久性の面もよく比較する必要はあるかもしれません。

 

最後に気になった点を一つ挙げると:

 

音色、ダイナミクス、使い勝手、サウンド・ヴァリエーションなどほぼ全ての面で高得点を付けても構わないと感じた今回の現場導入でしたが、従来のギターアンプに対して劣る点がひとつありました。

例えばブルース系の演奏でよく聞かれる、軽いクランチ(歪み)サウンドに設定した場合、ピッキングのニュアンスで歪みとダイナミクスの度合いは問題なくコントロール出来るのですが、一部の高価格帯の真空管アンプで味わえる「ピッキングの強弱に伴い歪みやダイナミクスだけではなく、音色自体が劇的にに変化する」は、少なくとも自分が使用しているモデリング・アンプでは得られません。但し、このニュアンスは高額のプレミアム・アンプのみで得られるものであり、低価格の真空管アンプでも殆ど実現できない「味」であることは記しておくべきでしょう。ここはメーカーのヴァージョンアップに期待したいです。

 

 

以上、きちんと説明を行なうと本当に長文となってしまいましたが・・・、今後もまた、新たな経験値も紹介していければと思っています。

 

 

次回のライブはガラッと変わって、デジタルとは全く無縁のアコースティック・ステージとなります。これも大変楽しいイベントとなりますので、お越しをお待ちしております!

 

201712月15日(金) 大塚Live House Welcomeback
「伊谷 希・仁村 茂アコースティック・デュオ」

伊谷希:Acoustic Guitar、仁村茂:Acoustic Bass & Vocal

open:18:30時 start:19:00時(2ステージ・ワンマン)

music charge:¥2.000(予約) ¥2.500(当日)別途table charge¥500&orderが掛かります

ご予約はTEL:03-5957-5141 もしくは http://www.welcomeback.jp/ からメールにて

(ご予約は、ITANI OFFICIAL WEBからもメールでお受けしております) 

ジャズのスタンダード曲に加えて、ハワイアンや昭和の名曲その他カラフルなレパートリーを、純粋なアコースティック・サウンドでお届けするステージです。仁村茂のヴォーカルも必聴です。ぜひご来場ください!

 


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PROFILE
ギタリスト・コンポーザー・音楽講師。

幼少よりよりドイツ在住。ミュージカル、ビッグバンド、ブルース、ハードロックからスイングジャズまでのサポートを務める傍ら、自己のバンド「ITANI」でヨーロッパ諸国にて活動。

1997年に帰国。「ITANI」を再結成する。今まで計3枚のアルバムをリリース。最新アルバム「Station To Station」は海外のプレスからも絶賛される。現在、AmazonやiTunes Storeにて好評発売中。

http://itanimusic.com/

LIVE SCHEDULE

2017年11月23日(木、祝日)
SHOOT THE DICE
西荻窪Terra

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