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「バンドとギタリストの永遠の戦い?〜褒められるギタリストの音作りとは」Part 3(最終回)

さて、今回でいよいよこのミニ連載記事も最終回のパート3です。まだパート1パート2をお読みになっていない方は、そちらを先にご一読ください。でないと、今回の内容がわかりづらくなりますので・・・

 

「〜褒められるギタリストの音作りとは」パート1はこちら

「〜褒められるギタリストの音作りとは」パート2はこちら

 

 

第5章:ギタリストはいかにして音の「通り」を良くするのか?

 

本連載のパート1で述べた通り、ロックバンドにおけるギター・サウンドは「やかましい」または逆の「聞こえない」といった問題が生じることがあります。最悪の場合は、メンバーにとっては「やかましい」のですが、弾いている本人は「聞こえない」となる時。言われた経験があるというギタリストは「メンバーの連中がわかっとらんのじゃ!」と言わずに(笑)、まずは対策を考えてみましょう。

 

対策1「歪みの度合の調整」

ジャンルを問わずエレキギターを歪ませる理由は、当たり前のことですがカッコいいロックなサウンドを生むためです(僕も大好きです)。

しかし、ここで多くのギタリストが陥りがちな「落とし穴」は、セッティングした歪み系の音が本当に「カッコいい」のか、単に「弾きやすい」のかを判断ができなくなってくることです。

 

パート1の表1でも紹介した通り、ギターの音は歪ませるほどに音の立ち上がりが抑えられ、他の楽器の立ち上がりに負ける(聞こえなくなる)傾向があります。でもそれは同時に、自分のプレイのダイナミクスをコントロールできなくても(悪く言えば雑なプレイでも)気にならなくなり、結果として「気持ちよく弾ける」ことにもつながるのです。でも、それは必ずしも「バンドで良く通るカッコいい音」とイコールではありません。

 

バンド演奏で良く通る歪みサウンドを設定するには:

*先ずは歪の度合いを「これでは全然歪みが足りない!」と思うレベルにまで下げます。イメージ的には、普段は「10」まで歪ませているなら「3〜4」にまで下げる感じです。

*ここから、音を出しながら「ミリ単位」の気持ちで歪を上げていきます。少しずつ歪を増やしていき、必要最小限のポイントを探ります。ここで「最適の歪み」と「弾きやすさ」を取り違えないように注意。「オレのサウンドだ!」と意固地にならずに、バンドメンバーと一緒に判断してもらうのも一つの方法です。

*バンドサウンドの中で最低限に必要とする歪みの度合いを見つけたら(それは元々使用していた歪みの度合いより少ないことが多いですが)、その音に馴染むためにたくさん弾き込んでください。慣れれば、それでも結構弾けるものです。

 

対策2「他の楽器との音域を差別化する」

次の表は、バンド内での各楽器の音域をイメージ化したものです。飽くまでも一つの例として紹介していますので、ジャンルやミュージシャンによってこの音域図は大きく変化します。

 

表4(クリックして拡大できます)

 

上記の表では、ドラムスとベースの主な音域に対して、ギターが「空いている音域」で突出していることがわかります。このように、特に音の立ち上がりのピークが鋭い他の楽器となるべくかぶらない音域にギターをセッティングすることで、パート2でも述べた「ギターの弱い立場」をカバーして聞こえやすくすることができるのです。

 

ネット情報などではよく「ギターはXXキロヘルツ辺りを強調すると抜けがよくなる」などと書かれていることがあります。でもどの音域を強調またはカットすると良いのかは、バンドのジャンルや、もっと言えば同じバンドでもメンバーが別の人に代わるだけでも全く変わる可能性があります。ネットのマニュアルより、バンドメンバーの耳や意見を重視したほうが問題は早く解決するかもしれません。

 

重低音を響かせるリズムセクションと共演するメタルバンドと、中高音域を多用するドラマーがいるジャズバンドとで、ギターの音域セッティングが同じであっていいわけがありませんから・・・

 

対策3「歪みと他のエフェクト〜引き算の法則」

多くの有名なロック・ギタリストが、歪みに加えてディレイやコーラスなど様々なエフェクトを多用しています。僕自身もこれらのエフェクターをボードに常備(またはモデリングアンプにプログラミング)して活用しています。尤も、これらのエフェクトを多用するときには必ず注意すべき「法則」があります:

 

a)「エフェクトを重ねるほどに、音はぼやける」

例えばマルチエフェクターのプリセットなどには購入時からディストーション、リヴァーブ、コーラス、ディレイなどをてんこ盛りにした、まるで観客が入っていない横浜アリーナで弾いているかのような(苦笑)セッティングが入っていることがあります。体感的には気持ち良いかもしれませんが、そんな音を使うベテランはまずいません。僕が以前に住んでいたドイツには、こんなことわざがあります:

 

「少ないほうが多い (weniger ist mehr)」

 

何事もやりすぎるとかえって効果がなくなるという意味ですが、エフェクトの掛けすぎも同じです。せっかくバンド内で通る音を見つけたのに、それを過剰なエフェクトにより周りからまた「聞こえない」と言われ、そのために音量を上げすぎて「うるさい」と言われ・・・これでは振り出しに戻ってしまいます。こうならないためには「引き算の法則」が大切です。つまり、

 

b)「何かを足したら、そのぶん何かを引く」

例えばディレイを強調するならば歪みを減らす(ディレイ成分によって、音は意外と伸びます)。歪みを増やすなら、他のエフェクトを抑えるなど。「全部乗せ、大盛り」はラーメンを注文するときだけにしましょう・・・(←関係ないコメント入れるな)

 

ギタリストの音のイメージは千差万別ですが、以上の点を注意しながらセッティングを心がけるだけで、バンド内での音作りはかなり実践的なものになるのではと思います。諦めずに色々と試してみることが大切です。

 

 

以上、初めての試みとして3回にわたる連載モノに取り組んでみましたが、本当はまだまだ補足したい内容が山ほどあるほど、このテーマは多岐にわたります。その中で、できる限り自分自身の好みやスタイルなどは考慮せずに、抽象的な説明も避けるようにしてなるべく多くの初心者〜中級者のギタリストに応用できる情報をご紹介してきたつもりです。

 

このテーマについてまだご質問などがある方は、下記のリンクよりメールをお送りください。可能な限りお答えするようにいたします。

 

http://itanimusic.com/contact.html

 

最後に:

2020年3月現在、国内のみならず世界でも感染病による不安が広がっています。不安に流されることで、行動や考えがどんどん萎縮していく人も少なくないようです。でも、事態はいつか必ず収束します。状況が好転した時に、力尽きた状態ではなくパワー全開でリスタートできるように、今から各自が自分を磨いておくことも大切ではないかと思っています。

またいつもの生活が戻ってきたときに、皆さんが改めてより元気に音楽に取り組むだけではなく、周りから「なんかギタープレイ、すごく良くなったね!」と言われるようなギタリストを目指されることを願っています。

 

3回にわたる長文、お読みいただきありがとうございました。 

 
 

2020年419日(日)

SHOOT THE DICE

千葉・稲毛APOLLO

start:1830 

charge: ¥3.000 & order

お問い合わせはITANI OFFICIAL WEBAPOLLOまで

 


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PROFILE
ギタリスト・コンポーザー・音楽講師。

幼少よりよりドイツ在住。ミュージカル、ビッグバンド、ブルース、ハードロックからスイングジャズまでのサポートを務める傍ら、自己のバンド「ITANI」でヨーロッパ諸国にて活動。

1997年に帰国。「ITANI」を再結成する。今まで計3枚のアルバムをリリース。最新アルバム「Station To Station」は海外のプレスからも絶賛される。現在、AmazonやiTunes Storeにて好評発売中。

http://itanimusic.com/

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2020年6月24日(水)
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