人と物事を動かす力

 

28年前の昨日、109日にドイツでベルリンの壁が崩壊しました。長らく続いた冷戦と、最終的にはソ連の解体にも繋がっていく歴史的な瞬間でした。

 

友人や知人には、また海外メディアのインタビューでも述べてきたことですが、僕はこの日にデュッセルドルフ市の近辺でライブがあり、帰宅したのは深夜を過ぎていました。機材を家に搬入してひと息つこうとTVをオンにした瞬間に、若者たちがベルリンの壁の上に立ってハンマーで壊そうとしているシーンが画面いっぱいに映し出されました。「変わった映画をやっているな〜」と呑気に観ていたら、キャスターの「これは映画などではありません!現実に起こっていることなのです!何ということでしょう!」と叫ぶようなコメントが聞こえて、愕然としたことを覚えています。

  

 

幼少よりドイツで育った自分にとっては、周りの同年代のドイツ人と同じく「西ドイツ」「東ドイツ」という二つの国が存在するということは当たり前のことでした。その「常識」が一瞬にして崩れ去った瞬間でもあり、今後の社会はどうなっていくのか、大きな不安を感じた瞬間でもありました。

 

実際に、EUでも最大の経済力を有していたドイツは、東西ドイツ再統一後には一時期ですが最大の借金国となり、それに伴い失業者と犯罪率の増加や、外国人に対するバッシングなども強まっていきました。

 

ちょうどその当時に、僕はブロードウェイ・ミュージカルのヨーロッパツアーに参加していたのですが、ネオナチの襲撃リスクが高まる中で、旧東独でのステージは全て断ることにしました。実際に、ドレスデン市などでの公演は機動隊の警備の中で行なわれたと聞いています(有色人種の出演者が多かったため)。音楽の「無力さ」を感じさせられたような出来事でした。

 

ドイツ国内の音楽シーンには、いわゆる「ネオナチ・パンクバンド」の活動が目立つようになり、「外国人を叩き出せ」「ドイツ人はドイツの商品を買え」などという歌詞を、よりによって日本製の楽器を抱えて叫ぶバンドマンたちの姿を観て、このような主張の無意味さや情けなさを感じたものです。

 

反面、ドイツのハードロック・バンド、スコーピオンズがその時期ににリリースした「Wind Of Change」が、冷戦の平和な終結を称えた「(民主化への)転回のアンセム」として、1400万枚を超える空前の大ヒットとなりました(Scorpionsがドイツ国内でスーパースターとなったのはこの曲から)。この曲のヒットが、多くの人々による非暴力的な統一プロセスに貢献したことは間違いないと思われます。

 

音楽の力には限界が見える時もある。音楽の力は乱用されることもある。音楽を作る人が皆、平和な考えを持っているとは限らない。それでも音楽には人を、物事を、動かす力が確かにあり、それが故に音楽を生み出す人には責任もあるのではないだろうか。そういうことを改めて考えさせられたドイツの記念日でした。

 

音楽に携わる一人ひとりが、音楽を通じて人が繋がり平和となっていく世界を願いながら活動するだけでも、世の中はより良くなっていくのかもしれません。

 

 

熱くても平和な(←と本人は信じている)ステージのお知らせです。

  

2017年11月23日(木、祝日)

SHOOT THE DICE

西荻窪Live Spot Terra

Jun Saito:Drums、Nozomi Itani:Guitar、Takeshi Nonoguchi:Bass

open:18:00時 start:18:30時

(2ステージ・ワンマンライブ、入替無し)

charge:¥3.000(+オーダー)

お問い合わせはLive Spot Terraまで:03-3395-7611

メンバーのウェブサイトからもお問い合わせいただけます 

 

リー・リトナー(G)、パトリース・ラッシェン(Kb)、ラリー・コリエル、マイク・スターン、渡辺香津美、パット、メセニー、チャック・ローブなどと共演してきた、スーパー・プレイヤーとのステージです!

  

 

201712月15日(金)

ITANI - 年末スペシャル・ステージ

大塚Live House Welcomeback

伊谷希:Guitar 本庄寛国:Guitar 仁村茂:Bass 土屋敏寛:Drums

open:18:30 start:19:00

2ステージ・ワンマンライブ、入替無し)

charge:¥3.000(+table charge¥500 & order)

お問合せ・ご予約はLive House Welcomebackまで。TEL:03-5957-5141  

 

久し振りのITANIライブは、新曲を2曲引っさげてのステージとなる予定です。年末に熱いパフォーマンスをお届けいたします!

 

皆様のご来場をお待ちしております。


聴いた瞬間に「全然違う」

 

 

2017/11/6本日、某国のトップが訪日していることもあり、別のアジア某国との緊張感がTVで繰り返し報道されているようです。自分は政治の専門知識が無いのでコメントはしませんが、60年代初頭から90年代後半までドイツで暮らしてきた身としては、1989年まで分断されていた東西ドイツの状況と照らし合わせてしまい色々と考えさせられる面があります。

 

僕がドイツを中心にヨーロッパで演奏活動を行なっていた80年代に、時折ですが東ドイツ(正式な国名はドイツ民主共和国)のミュージシャンと出会うことがありました。当時の西ドイツ(ドイツ連邦共和国)政府は「いつかは東西ドイツが再統一する日が来る。その時に、東ドイツが社会主義の悪影響で経済的に困窮していると、ドイツ政府としては抱えきれない負担が生じるかもしれない」というリスクを見据えていました。そのため西独は、貿易や文化交流という名目の下で、東ドイツが西ドイツにおいて一定の外貨稼ぎを行なうことを容認していました。つまり、前述の東ドイツミュージシャンたちは「西ドイツマルク稼ぎ(欧州でユーロ貨幣が導入される前の時代です)」のための「営業バンド」だったのです。

 

当時、社会主義国の東ドイツでは全ての経済・文化・教育部門が国家主導で行なわれていました。そのため、例えポピュラーミュージックのダンスバンドやロックバンド(数は少なかったが存在した)でも、東独では全員が国家試験に合格したミュージシャンたちばかりでした。その試験内容はクラシックのエリート音大並みに厳しかったようで、いわゆる「Top 40」などと呼ばれるヒット曲を演奏する営業バンドのメンバーでも、読譜能力などは恐ろしいレベルの人たちばかりでした。

 

ところが、彼らと話をすると、意外なほどに西側のポップスやロックのミュージシャンにコンプレックスを抱いていることが伝わってきました。その最大の理由は

 

「東側ではロックの演奏感覚が掴めない」

 

ということにあったようです。演奏技術は叩きこまれている。読譜能力は特筆もの。楽器は国家から支給される。でも、「西側のロックやポップスは資本主義の悪の象徴」とされていた当時の社会主義国では、自由に聴きたい音楽を選べない。そのため、(支給された)譜面を正確に再現することは出来ても、どのジャンルも「そのサウンド」にならないことが多かったのです。インターネットの情報などなかった時代に、東独のミュージシャンは社会主義システムの中で徹底したポピュラーミュージックの「マニュアル」を叩きこまれてきたのですが、西側へ営業でやってきて現地ミュージシャンの演奏を聴いた瞬間に「全然違う!」と気づかされ、ショックを受けることが少なくなかったのです。

 

音楽には技術も理論も存在します。でも「マニュアル」のみでは人に伝わらない。その「文化」を肌で感じて吸収することで、初めてその文化の中で説得力のあるパフォーマンスが行なえるのではないでしょうか。

 

今は当時とは異なり、ネット上などで多くの情報を共有できる時代になりました。それでも、実際に足を運んで現場の音、感触、空気感などを体験しないとわからないことが、どんなジャンルの音楽にも多々あります。以前、僕のライブに来てくれた若いギタリストがステージ終了後に「ライブって、こんなすごい迫力なんですね!」と感想を漏らしていました。ギターを複数本も所有し、好きなアーティストのアルバムなどもたくさん購入しているこの若者、今までライブ会場に足を運んだことが一度も無かったというのです。「動画サイトで観ることが出来るから充分だと思った」ということですが、これでは「文化」を吸収するのは少々難しいかもしれません。

 

レッスンを行なっていても、積極的に人と演奏し、ライブを観に行き、自らも人前で演奏しようと取り組んでいる生徒さんは、演奏中の説得力がぐっと増してくるように感じます。基礎を疎かにしては何も始まりませんが、現場で「文化」を吸収することは、ミュージシャンとして一歩抜きん出るために不可欠な事ではないでしょうか。一緒に様々な「文化」をガンガン演奏できる仲間を増やしていきたいものです。

 

 

年末までの、大切なステージのお知らせです。

  

 

2017年11月23日(木、祝日)

SHOOT THE DICE

西荻窪Live Spot Terra

Jun Saito:Drums、Nozomi Itani:Guitar、Takeshi Nonoguchi:Bass

open:18:00時 start:18:30時

(2ステージ・ワンマンライブ、入替無し)

charge:¥3.000(+オーダー)

お問い合わせはLive Spot Terraまで:03-3395-7611

メンバーのウェブサイトからもお問い合わせいただけます 

 

リー・リトナー(G)、パトリース・ラッシェン(Kb)、ラリー・コリエル、マイク・スターン、渡辺香津美、パット、メセニー、チャック・ローブなどと共演してきた、スーパー・プレイヤーとのステージです!

  

 

20171215日(金)

ITANI - 年末スペシャル・ステージ

大塚Live House Welcomeback

伊谷希:Guitar 本庄寛国:Guitar 仁村茂:Bass 土屋敏寛:Drums

open1830 start1900

2ステージ・ワンマンライブ、入替無し)

charge:¥3.000(+table charge500 & order

お問合せ・ご予約はLive House Welcomebackまで。TEL03-5957-5141  

 

久し振りのITANIライブは、新曲を2曲引っさげてのステージとなる予定です。年末に熱いパフォーマンスをお届けいたします!

 

皆様のご来場をお待ちしております。

 

 

 


「仕事の内容」ではなく「人そのもの」で決まる

 

「イタニさん、撮影会来ませんか〜」。先日、ITANIの元セカンド・ギタリストで、現在はフォトグラファーとして大活躍している福島志朗氏よりこんなメッセージが舞い込んできました。フリーで活動している彼ですが、写真店のキャンペーン企画でポートレート撮影を担当することになったので、良い機会だから宣材写真を撮っておかないか、という誘いでした。

 

志朗氏はITANI2ndアルバム「Between Shadow & Light」にも参加している旧知の仲です。

 

 

フォトグラファーへの転向後も、たまにライブに遊びに来てくれて写真を撮ってくれるのですが、これがいつも見事な出来栄え。その彼のオファーですから、即決でお願いすることにしました。

 

彼は著名ミュージシャンのアルバム写真、コスプレイヤーのポートレートから風景写真まで、幅広い分野で定評がある写真家。彼の作品はどれも人を唸らせるハイ・クォリティーのものばかりです。

  

撮影当日が台風上陸の直前だったということもあり、会場へ向かうのがちょっと大変でしたが、何とか無事に到着。ショッピングセンターの中に設けられた撮影会場へギター3台を携えて向かう途中、周りの買い物客からは不審な目で見られること数知れず・・・(汗)。でも、志朗氏が事前にスタッフの方々と調整を行なってくれたおかげで、現場では係の方々に会場までVIP待遇並みに案内されるなど(笑)、あらゆる気配りをしていただきました。ありがとうございました!

 

通常は家族写真の撮影なども行なうキャンペーンに紛れ込んだので時間は短めでしたが、そこは志朗氏の腕がものをいう世界。短時間で僕との打ち合わせを済ませ「ロック」「ジャズ」「アコースティック」などと、どんどん構図やライティングを決めて撮っていく。ポージングが苦手な僕を微妙にうまく乗せてくれて、あっという間に必要なショットが撮れてしまいました。彼の素晴らしくも巧みな誘導、あともう少し撮影が続けば脱いでいたかも・・・(←気持ち悪いことぬかすなっ)。

 

元々はギタリストとしても他とは一線を画する実力者だった志朗氏ですが、改めて写真家としても「さすが一流のプロ!」と感服する結果を出してくれました。

 

彼の仕事ぶりを見ていると、仕事と真摯に向き合う人は、ギターやカメラなどフィールドを問わずにプロとして通用することが伺われます。良く聞く話ですが、芸人やアーティストとして息の長い人は、下積み時代にアルバイト先でも高く評価されて責任のあるポストを任されてきたことが多いとのこと。つまり、どのような仕事に携わっていても、その仕事を行なう理由が何であっても、引き受けたからには最善の結果を出せるように全力で努める。これが「本業」にも反映されて、周りから認められることに繋がっていくのではないかと思います。

 

反面、「アルバイトや副業は手抜きでも、本業は本気でやるから大丈夫」といったスタンスでプロとして尊敬に値する仕事振りを見せてくれる人は、少なくとも僕の周りではあまり見かけたことが無いような気がします。

 

「プロ」であるか否か。それは「仕事の内容」に左右されるのではなく、仕事に取り組む「人」そのものの姿勢で決まる。当たり前のことなのかもしれません。でも、そんなことを新たに考えさせられ、自分も気を引き締めさせられた撮影会でした。

 

福島志朗氏の撮影による写真は、ITANI OFFICIAL WEBの「PHOTOS」ページにプレス用写真として掲載いたします。ご興味のある方はご覧ください。

 

 

被写体の素材の悪さは・・・どうか・・・ご容赦を・・・(←こればかりはどうにもこうにも・・)。

 

 

次回のライブまで後1ヶ月となりました!

 

2017年11月23日(木、祝日)

SHOOT THE DICE

西荻窪Live Spot Terra

Jun Saito:Drums、Nozomi Itani:Guitar、Takeshi Nonoguchi:Bass

open:18:00時 start:18:30時

(2ステージ・ワンマンライブ、入替無し)

charge:¥3.000(+オーダー)

お問い合わせはLive Spot Terraまで:03-3395-7611

メンバーのウェブサイトからもお問い合わせいただけます 

 

リー・リトナー(G)、パトリース・ラッシェン(Kb)、ラリー・コリエル、マイク・スターン、渡辺香津美、パット、メセニー、チャック・ローブなどと共演してきた、スーパー・プレイヤーとのステージです!


calendar
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< November 2017 >>
PROFILE
ギタリスト・コンポーザー・音楽講師。

幼少よりよりドイツ在住。ミュージカル、ビッグバンド、ブルース、ハードロックからスイングジャズまでのサポートを務める傍ら、自己のバンド「ITANI」でヨーロッパ諸国にて活動。

1997年に帰国。「ITANI」を再結成する。今まで計3枚のアルバムをリリース。最新アルバム「Station To Station」は海外のプレスからも絶賛される。現在、AmazonやiTunes Storeにて好評発売中。

http://itanimusic.com/

LIVE SCHEDULE

2017年11月23日(木、祝日)
SHOOT THE DICE
西荻窪Terra

selected entries
categories
archives
recent comment
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM